浮遊、カナダへ

 

今年の夏(9月くらい)から一年間、カナダで暮らすことになりました。少し前から計画していたんですけど、この場を借りてお伝えします。

 

思えば、大学に入学する少し前から、大学の次の段階(大学院)、ないしは大学+αで何かを学んだり実践したりしようとしていたような気がする。大学に入りたての時はNYUのフィルムカレッジに行こうとしていた。当時の興味は映像オンリーだったため、そこを選んだんだと思う。けれど、大学に入っていろいろ学んだり作ったりするうちに、興味の方向が若干ずれて、映像だけでなく広義の意味でのデザインみたいなものを学びたい欲求が強くなっていて、グラフィックとかメディアアートに手を出した。できるだけ分野横断的に学んで、〇〇クリエイターというよりは、デザインという概念を用いて、社会に対してアクションを起こしたいなと。漠然としすぎているんだけど。

 

とはいえ、やっぱりグラフィックは好きだし、技術的にはグラフィックを突き詰めていこうとは思っていて、そのなかで学ぶデザインという普遍的な概念はなにか別の場面でも役立ってくるんじゃないかと。

 

で、バンクーバー。なぜかというと、バンクーバーってすごく面白い街で、映像とかデザインとかへの意識が、近年どんどん高まってきている。というのも、ハリウッドなんかで作る映画のロケなんかだと、施設や土地の使用料が圧倒的に安いってことで、撮影隊がバンクーバーに来たりする。そこで鎖国時代の出島みたいに、映像やメディア、デザインがどっと流入してきて、そういったものに対しての高い技術やリテラシーが育つ土壌ができているんだと思う。現に、北米の方でかなり早い段階からモーショングラフィックスに注目しているカンファレンスなんかがバンクーバーで開催されていたり、いわゆるアート・デザインの専門学校(カレッジ)が新しいプログラムをバンバン発表していたりする。

 

多分歴史は全然ないだろうから、日本みたいに「グラフィック」「フィルム」「CG」みたいにパキッと別れているなんてこともなくて、一つの会社が何だってやりますみたいな風潮はあると思う(これは北米全体に言えることなんだけど)。このことは結構おれにとって魅力的で、この先、例えば大学や大学院で専門的なデザインの研究をするとして、一方でそれをとりまくあらゆる技術がごちゃっと詰まった場所で、これまたごちゃっといろいろやってみるっていうのは結構大事なことだろうし何より楽しいんじゃないかと思うから。

 

捉えようによってはこの一年間は留年みたいなものかもしれないとも思う。足踏みというか、少し立ち止まるというか。専門領域を絞らずに多くの分野に触れてみる、そういった実態だけを捉えれば、大学生活が一年延長されたという解釈も無しではない。ただ海外だから生活環境や文化の違いが刺激的だったり、英語力もマシになったりと、それなりにメリットはあると思うんだけど。放浪と言われれば放浪だし、いざカナダに着いて、数ヶ月間語学学校に行くこと以外は、とりあえず今まで通りいろいろ作ることくらいしか予定は無い。もはや留学なのか旅なのか、際どいところではある。

 

大学に入ってからというもの、いろいろなことを齧って、結局何者にもなれていないおれにとっては、自分探しの旅という言葉がぴったりかもしれない。あまり好きな言葉ではないいんだけれど、「自分と向きあう」ということと「旅」が黄金の組み合わせであることは、おれでも何となくわかる。

 

ここらで一度、ふわふわと浮遊してみてもいいんじゃないだろうか。